実話か作り話か

ちょっと前に二ちゃんのまとめサイトで読んだ自分語りにこんなのがあった。
その人(Aさんとする)は、母親は早くに病気で死に、父親ひとりで育てられたという。しかし、大学を卒業し、さあ社会に出ていくというところで父親から衝撃の事実を告げられる。
父親は実の父ではなく、Aさんは父の妻とその浮気相手の間に出来た子だったのだ。そして、妻は病死ではなく、浮気相手との駆け落ちでいなくなったのだ。生まれたばかりのAさんを捨てて。
父親はずっと妻のことを恨んでいた。しかし、小さい子供に罪はないんでAさんを育てた。恨みの対象であるのに関わらず。そして、社会人になったAさんに告白し、親と子の縁を切ると告げた。
Aさんは父親のそんな思いを全く知らなかったそうだ。子供の頃から、普通に笑いあい愛されていると思っていた。それが全部そうではなかったのかとショックを受けたそうだ。
この話を聞いて、Aさんも父親も、その心に思いを馳せると、興味深いものがある。
Aさんは今後、人を信じることができるんだろうか?父親のことをどういう風に定義付けしたんだろうか?
私なら長年育ててもらった父親が自分を恨みの対象として考えていたとは思いたくない。愛されていたと思いたい。
自分に妻の面影があることで、父親は自分を暴力を振るったりいつかギズつけるかも知れない。それをしたくないから父親は自分を捨てたと思いたい。
だから父親を最大限に尊重して、二度と会わない。しかし、父親のことは一生父親と思い慕い続けるだろう。心の中だけで。
一方、父親は何を考えてAさんを育てたんだろうか。憎しみの対象であるにも関わらず、自分の正義とか道徳で強く自粛して、育てきった点は立派だ。立派すぎて気味が悪い。
しかし、Aさんを育てて捨てることが復讐だったなんてことは無いだろう。幼少の無力なAさんに生涯つきまとう傷を作る方法なんて、それこそ無数にあるし、大人になってから真実だけ告げた点は、一番Aさんにとって優しい。
度を越して立派な人だったんだろうなと思う。
片親で育てきれるほど世間は甘くない。自分の仕事での将来性の多くを、棒に振っただろう。教育のお金を稼ぐ為に嫌な思いもいっぱいしただろう。母親が多い保護者会に混じるのも大変だ。
真面目で自分に厳しい人柄だったろうと思う。仕事に注力すれば、それなりのポジションに行けたんじゃなかろうか。
それでも最終的に報われないなんて、なんてハードモードなんだろう。その心中は私にはとても想像出来ない。
Aさんがいなくなった後は、自殺してないかが心配だ。改めて自分のやりたかったことに進んでくれていたら、ものすごくいいんだけどな。