退職を決意

退職を決めた。一年半という短期間での退職となるが、今の会社に入ったことは失敗だったという判断だ。

 

失敗の最も大きな理由は、入社時の面接で背伸びし過ぎて、やりたくも無いことを出来るといい、出来ないことをやりたいと言ったこと。自分を偽ることは自分を不幸にすることを今回のことではっきりと分かった。

 

具体的には海外での活躍について。面接の場では積極的にやっていきたいと言っていた。社会はそういう人材を求めていることは知っていて、求められ続ける人になりたいと思っていた僕なので、それは本心だった。でも、これまでの人生のほとんどを日本で過ごしてきて、たった2回の海外旅行も言語と文化の違いにビクビクしていた自分だ。実際に打診を受けると、心底、拒絶していた。自分で自分のことを分かっていなかったのだ。

 

顧客との関わりについても同様。顧客に近い位置で働きたいと面接時に伝えたのは、社会がそういう人材を求めていると考えていたからだ。しかし、実際にそういう機会が来ると同じように拒絶した。そもそも僕はあるタイプの人と人間関係を築けない性質がある。それは好き嫌いがはっきりしていて押しの強いタイプの人だ。この種の人は往々にして職場に絶大な影響力を持つ。この種の人と、上手くやれない自分が、顧客と上手くやれるはずが無い。拒絶反応は全く妥当なものだった。

 

他にも細かいキャラクター設定で、社会が求める人材像を演じ続けた。入社後はそれらを完全に演じきる、それでしか今後のキャリアは開かないと思った。それは間違っていない。グローバルに活躍出来ない人材、マーケット感覚のない組織は今後確実に衰退する。特に私の関わるテクノロジーの分野ではそれが顕著だ。しかし、人間にはどう頑張っても、出来ないことがある。無理のある自分を演じ続けることは心身に大きな負担をかけ、結果、ちょっとした失敗で一気に体調を崩した。つまり持続性が無い。

 

また、入社時についたこれらの虚像から、会社が自分に期待するものが、本来自分が求めている生き方とかけ離れていることも自分を苦しめ続けた。今の会社の中では、その大きな矛盾から逃げられない。これが僕の退職する一番の理由である。